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入院日記 15日目

うす。
今日はここまで便1回血便なし、平熱で腹痛もなく好調です。



>五分粥っていわゆる十倍粥だよね。離乳食で一番最初に食べるお粥だ。
すずきさんやっと赤ちゃんまでレベルアップしましたね!

コメントいただいております。
三十路手前にしてとうとう胎児から赤ん坊になれたか。人の道とは永いものだな。
まぁ孔子も30にして立ち40にして惑わず70にして最強になったと言うからたぶん孔子もおれくらいの年に潰瘍性大腸炎になって五分粥を食うハメになったんだろう。
だからおれも実質孔子みたいなもんなんで、死後みんなで配信中の発言とかまとめて「すじ論語」とか書いといてくれな。売り上げは全部シャイくんに行くようにしといてくれ。




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朝食。
・三分粥200g
・野菜の煮込み(を細かく砕いたやつ)
・卵焼き(を細かく砕いたやつ)
・味噌汁
・うめびしお
・ヨーグルト

三分粥ラストラン。もうこれでお前とはさよならだな。
思えば出会いこそ情熱的だったが、その分燃え尽きるのも早かったみたいだ。
もう二度と逢うこともないだろう。お互い振り返らずに別れようじゃ…ん…これは…?

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オォッ!これは三島食品の「うめびしお」じゃねぇか!!
とうとう姿を現したな。ラストの三分粥にぶっかけて食ってやるぜ。ウマいウマい。



朝は早いうちにシャワーを浴び、今日の透析に備える。
対策通り温かいお茶を飲み、腕を蒸しタオルで温める。バッチリだろう。
憂いなく透析室に向かう。入室するとずらりと並んだベッドは同じく透析を受けている患者さんたちでほとんど満床だったが、彼ら全員が俺に声援を送ってくれているような気がした。
まるでスタジアムに入場し、サポーターの歓声を受けるサッカー選手のような気分だ。みんな見ててくれ、今日はハットトリック決めてくるからな。



ベッドに寝る瞬間はさすがに緊張する。
これまで毎回同じベッド、窓際はおれの指定席だ。
いつも通り針をブスリと両腕に刺され、あれよあれよという間に処置がはじまる。
やることはすべてやった。あとはシュートを打つだけだ……
……
……取れてるらしい。どうやら。やらかいのを握らずとも、体勢をいじらずともすんなり。
持参のタブレットで動画を観る余裕もあった。大科学実験をアマプラで見た。一本一本が短いしアナログだかハイテクなんだか分からない実験を茶番挟みつつやってて面白かった。途中ステーキ焼く実験やってたけどいまのおれにはどうともなかった。強くなってしまったな……。



滞りなく終わった。
やばり大事なのはコンディションだったみたいだ。この日はかなりよく寝れたのも大きかったかもしれない。前回攻略法教えてくれた人たち本当にありがとうございます。
看護師さんたちは前回おれがうんうん唸ってんのを見てかなり不憫に思ったらしく、今回相当気を遣ってくれてめちゃくちゃ親身だった。もしや日記読んだか?
前回イラついてしまったのがかなり申し訳ない。感謝します。




あと今日、たまたま同じ病気の友人から話を聞いたところ、このGCAPという施術は3割負担でも一撃で4万くらいかかるらしい。
万発2000枚だ、そりゃ日を改めるとかできんわ。
結構前の話ではあるらしいが助成金で返ってくるにしても退院後はとりあえず一回一回払わなきゃなのはなかなかエグいな。もう入院中に全部やってくんねぇかな…。



病棟に戻ると昼食が出てきた。
とうとう来る。五分粥がやって来る。




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昼食。
・五分粥250g
・鶏の照り焼き
・大根とニンジンの煮込み
・トマト
・フレンチドレッシング
・リンゴゼリー

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信じがたい光景が目の前に広がった。
確かに予習はしていたが、実際に目にしてみるとその迫力はすさまじいものだ。

見てよ……。おかずに形があるよ……。
ていうか肉出てきた……肉出てきたよさっそく……。
いいの……?あとで100万円とか請求されない……?大丈夫……?

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見ろよこの粥……、飯粒が何粒入ってるんだ?
すさまじい密度だ、考えられん……。日本は大丈夫なのか……?



どれからいこう。どれからいけばいいんだ?
ともかく箸を持つ。そういえば箸を持つのは年が明けてからはじめてだ。
大根の煮込みを噛む。

しゃくり。

……?

……!?

なんだ、この感覚は。

懐かしいようでいて、しかしこの鮮烈な体験はなんだ。

思えば幼いころ、歯が生えた頃から共にあったであろう感覚、これは……




うわーーーーーーーーー、食感だ!!
これ食感だ!!食感帰ってきた!!
まじで年明けてからはじめてじゃねぇかちゃんと固形のもん食ったの。
うわーー嬉しい。帰りつつある。シャバに帰りつつあるよ。りんごとか食いてぇ。顎使わせてくれよ。

粥はもう米の味の濃さが段違いだ。三分粥とは雲泥の差とも言っていい。バッチリ甘い。もうこれ醤油いらんわ。密輸の甲斐なしです。粥うめぇわ。

そんで鶏。
大変だ、アタイ今肉を噛みしめてるよ。旨すぎる。
まじでいいのか、これ犯罪じゃないか?これ肉の味求めて脱走するやついないか?
熊にエサやると人間の食いもんに味占めて人里に下りてくるの知らんのか?
おれが猟師にライフルで撃ち殺されたら誰が責任をとるんだ?
SNSでは「エサを探してるだけの翔平を撃ち殺すなんてかわいそう」なんて話題を起点に様々な議論が起こるのか?規制すべきじゃないか?



フレンチドレッシングは完全にシャバの味だ。もうここがシャバでいいんじゃないか。
そしてリンゴゼリーだ。変わらず最高にウマい。一生これでいい。
序盤から終盤まで変わらず使える初心者救済キャラみたいだ。
ドラクエ5でいえばピエール、ロマサガ3のようせい、スパロボIMPACTでいえばEz8だ。



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そんで夕食。
・五分粥250g
・焼鮭
・ほうれん草のおひたし
・お麩のすまし汁
・バナナ
・リンゴジュース


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……焼鮭だ。切り身の。ほぐされてない。
あまりにも旨すぎる。がっしり噛む濃い味の魚がこんなに旨いとは。
思わず皮も食う。……脂だ。大丈夫なのか。腹下さないか。しかし旨い。もう止められない。
バナナは噛むと凄まじく密度が高く、重さを感じた。さすがに一本で1日行動できるだけはある。



完食して違和感を覚える。
……あれ、ふつうにお腹いっぱいだ。
これまでは絶対にあり得なかった感覚だ。満腹感はなかった。
たしかに、健康であっても少食の人であれば食いきれないくらいの量だ。腹一杯になるのも当たり前だ。
完成してしまった。おれの入院生活が。



そして食後にセンセイがやってくる。
かなり順調なようで、早ければ日曜日には退院できるかもしれないとのこと。
早くねぇ?
しかも明後日くらいには全粥にできそうだとも。
いいの?



……"終わり"が近い。みんなパーティの準備を頼む。



前回コメントくれた人らサンキューサンキュー、まぁ薬の管理間違いが原因の一端だから管理させらんないのかもな。アイカツは何度も言ってますが大空あかりちゃんです。チャーハンは店によってブレあるから注意な。
んじゃまた明日。
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入院日記 14日目

うす。
今日はここまで便なし、平熱で腹痛もなく好調です。



>元・病院売店員です。
食べちゃダメな物をこっそり買いに来るお客さんは結構いたので、今回の日記はそのお客さん視点が面白かったですw
お醤油くらいならきっとすじさん隠し通せると思うけど、お菓子の買い物袋見つかって全部没収されたり、売店のレジ前で看護師さんや先生に現行犯で止められたりなんか割とあるので気をつけてくださいね。
あと常習犯で酷い場合は売店に通告が来ることもあります。(〇〇な特徴の患者さんが食べ物買いに来たら売らないでくださいとか、売店にいたら病棟に内線くださいとか)
コンビニの下位互換みたいなウチの売店ですら、ものすごく誘惑みたいだったので、色々しんどくて大変だと思いますが頑張って乗り切ってください!応援してます!


コメントいただいております。
は~やっぱいるもんだよね。日記にも何回か書いたけど絶食中は売店行くかもしくは脱走して飯食いに行くか考えたの一回や二回じゃ足らんもんな、そりゃ実際に食っちゃうやついるわ。
まぁでもやっぱりセキュリティはそんなカチッとしたもんじゃねんだな、おれが言うのもなんだけど利用制限するか看護師が着いていってやるべきよな。




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朝食。
・三分粥200g
・野菜とエビの煮込み(を細かく砕いたやつ)
・玉ねぎのなんかすっぺぇやつ(を細かく砕いたやつ)
・みかん(を細かく砕いたやつ)
・あまのりつくだ煮
・ジョア

オッあまのりつくだ煮だ。早くたいみそも見せてくれ。
このすっぺぇやつは正体不明だ。とにかくすっぺぇ。あとは基礎コン。




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昼食。

・三分粥200g
・小松菜のあんかけ(を細かく砕いたやつ)
・ほうれん草の卵とじ(を細かく砕いたやつ)
・白身魚の焼いたの(を細かく砕いたやつ)
・キャロットゼリー

魚ウマいわ。よかった。




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夕食。
・三分粥200g
・溶き卵の澄まし汁
・豆腐のなんかあったけぇの(を細かく砕いたやつ)
・ゆでブロッコリー(を細かく砕いたやつ)
・なんかすっぺぇやつ(を細かく砕いたやつ)
・野菜生活

この豆腐っぽいやつは前も出たけど結局なんなのかわからん。豆腐なのかどうかも怪しい。なんなんだいったい。
すっぺぇやつはマジでただただすっぺぇ。みかんみてぇなのが乗っかってるけどおかずっぽい味もデザートっぽい味もしねぇ。なんなんだこれ。姿見せろ。すっぺぇぞ。



…………



……。



……なんか、三分粥、飽きちゃったなー、なんつって。ナハハ。



一週間前のおれが聞いたらなんて言うだろうな。点滴台持って病院中追っかけ回されんじゃねえだろうか。
あ、でもあいつ一人で5階から移動できないから楽に逃げれるわ。
とはいえ三分粥もいよいよ4日目、この飯粒が二桁しか入ってないうっすい粥といよいよなに食ってるかわかんなくなってきた粉砕おかずが続くとなかなか苦しい。
出始めの頃はとにかく食えてるだけで満足できてたんでよかったが、徐々にシャバ力(ちから)を取り戻してきたことによりかなり飽きの波が押し寄せてきている。おれが犀賀先生なら猟銃咥えて自殺してるとこだ。



とはいえ明日からは粥のランクが上がることがわかっているので気は楽ではある。
これでとうとうおれも五分粥デビューだ。明日の昼はタキシードなどを着て臨んだ方がいいんだろうか。
前も書いたがみんなもぜひ明日は五分粥を食ってくれ。来年からは鈴木翔平五分粥昇格記念で五分粥を食う国民の休日になるからその演習だ。
退院日は鈴木翔平退院記念日で国民全員が牛丼を食う日になる。たぶんもうすぐ吉野家の社長とかが首相になるだろうな。
それと同時に国民全員がサウナに入る日にもなる。日本国民総出でロウリュの熱波を受けよう。



夕方にぴゃんさんが見舞いに来てくれた。
ぴゃんさんはTRPGのシナリオを出してるサークル「auroraloop」の人で、クソみたいなシナリオを書くことに定評のある人だ。最近FF14関連で仲良くさせてもらっていておれの配信で名前を聞いたことがある人もいるだろう。この前のおれのわけわかんねえシナリオを手伝ってくれて結局最もわけのわからん部分を書いてくれた人だ。
以前彼から使わなくなったお高いヘッドホンを譲り受けたのだが、家を掃除していたらそれの付属品を発掘したとのことで見舞いついでに届けてくれる粋な男である。

あとついでに他のもんも持ってきてくれた。

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禁煙パイポはおれが頼んでたやつ。なんか咥えてると空腹も和らいでかなり気持ちが楽で助かる。
そういやタバコ吸いたくならんな。禁煙成功したわ。
あと「お年玉」と称して金のポチ袋を出してくるのでなにかと思ったら肉のギフトカードだった。これも掃除中に発掘したらしい。

サイトにアクセスして内容を見てみる。

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ギェッ、上等なお肉が5000円分…
今こんなもん食ったら全身が即座に溶解してしまうだろうことは間違いない。ありがたく頂戴して、シャバに出たら楽しもう。
ぴゃんさんとは「病院には保険適用で1日700円で抜いてくれる専任の出稼ぎ中国人ナースがいる」などと話をし、夕飯前に彼は去っていった。ちなみにおれの部屋は五人部屋の大部屋である。
明日は透析の4戦目だ。対策も立てたし備えて寝よう。



ブーッブーッブーッ

看護師さん「はーい鈴木さんお呼びですかぁ?」

???「あ、今日は睡眠導入剤早めにもらえますか?」

看護師さん「はいはい眠り薬ね。わかりました」

???「よろしくおねがいします」

ブツッ

???「……」

???「『眠り薬』て……どっちかって言うとトラップとかに使う薬物の言い方だよな……」




前回コメントくれた人らサンキューサンキュー、薬の自己管理とかあんの?
なんか毎回持ってきてくれてカラまで回収していくわ。きたねぇ顔面はそのうちな。今髭ボーボーです。天一はとりあえずこってり食ったあとに米ぶちこんどけ。デブならチャーハンも食え。
ではまた明日。

入院日記 13日目

うす。
本日ここまで便1回血便なし、平熱で腹痛もなく好調です。




>お疲れ様です。
採血と戦っているのを想像し、自分も採血に手間取って看護婦のお姉さんたちに取り囲まれ腕をニギニギされ布団とドリンクであっためられた記憶があります。すげえ申し訳ない気持ちになるよね。
調べたらやっぱり体を温めるのがいいらしく、カイロを当てておくとか。風呂も手だと思うけど、手軽ならそういうのもあるっぽいす。

ちなみに質問ですがこれまでの医療費どんくらいかかりそうですか?
支援したいけど給料入るまで時間かかるし、もし少量金額でもいいなら口座に入れるのでまた金額目処立ったら教えてください。DMします。

コメントいただいております。
プスプス刺されんのもマジいてーし萎えるし血を採るとこ決まんなかったり刺さっても血が足んないとかになるとまーじで気まずいんで参るすね。
こういうときだいたい看護師さんたちがマジでしょんぼりし出すのでなおさら気まじーす。
入院費は日本の保険制度が神すぎて自分で払える範囲に収まりそうすわ。
ご心配おかけしました。かわりにアマギフください。よろしくおねがいします。




朝、まだ病院内が静かなうちに行動を開始しなければならなかった。
7:30、本来はもっと早く動きたかったが仕方がない。この時間にならないと売店は開いていないのだ。
目的はこの病院の1Fにある売店、そこでおれはあるモノを手に入れると心に決めている。
あるかどうかも分からないものだが、この先病院で過ごすには必ず必要なものだ。
しかし、堂々と必要だと言えば必ず禁じられるモノであることは明白だった。
おれはこの入院生活ではじめて、この手を闇に染めようとしている。



エレンタールの解禁と同時に院内全体の行動許可は与えられている。
そしらぬ顔でナースステーションの前を通りエレベーターホールまで辿り着くのは容易だ。
しかし、極力リスクは最小限に抑えたい。そのための朝の行動である。この時間帯ならまだ詰めている看護師は少なく、発見される可能性も薄い。
マスクを着け、病室を出る。ナースステーションにはやはり少数しかおらずバタバタとしていたため声をかけられることもなく通過できた。
誰にも会うことなくエレベーターを呼び、1Fに脱出する。
外来受付が始まっていないため人の気配は少ない。




静かな院内を進み、辿り着いたのはこの病院の売店「グリーン・リーブス・モール」

全国の病院などに入っているチェーンのコンビニで、松屋の弁当や有名ブランドのフルーツやマカロン、ベーグルなど謎の品揃えを誇る一風変わったコンビニだ。
そしてなによりも最大の特徴は店内で焼いているという焼きたてのパンが並んでいることだ。
種類は豊富であんパンなどの菓子パンを筆頭にウインナーロールやコロッケパンなど惣菜パンも充実している。
そのうえ欠品があれば焼きたてのパンが常に補充されているため、売店の周囲は焼きたてパンの香ばしい香りに満ち満ちている。
その様はあまりにも暴力的で、おれはこの事実を入院前に実際に入店することによって掴んでいたためエレンタールが解禁されるまで本能的に立ち入ることができなかった。



破壊の香りに溢れた店内へと入る。絶食中にこの香りに呑まれていたら即座に全身が崩壊していただろう。
目的のモノを探すと、レジ横の棚の一番下にひっそりと置かれているのを発見した。
焦るな。先に飲み物を手にいれよう。カゴにそれだけが入っていては怪しまれるに違いない。
買い物カゴに鶴瓶の麦茶を中心にペットボトルの茶を入れていく。およそ10本。
これらも必要なものではあるが、今回はカモフラージュにもなるだろう。
「おはようございます」
背後から声をかけられ、思わずビクリと身を震わせる。
振り返ると見覚えのない看護師に挨拶をされたようだった。
どうやら病院着のおれを見て声をかけただけだろう。適当に挨拶を返しておく。
その看護師が退店するまで待ってからカゴに目標物を入れ、会計をする。
…ん?病院着…しまった!!
そう、おれは病院で貸し出されている寝巻きのままで来てしまっていた。
この格好をしていれば一発で患者だということがわかる。
もしかしたら、今から購入しようとしているモノについては医師の許可やそれに類する書類が必要かもしれない。それらの提出を求められてしまってはひとたまりもない。
しまった、今からでも着替えて出直すか?いや、もう遅い。会計がもう終わろうとしている…。
しかし、その心配は杞憂に終わった。
とくになにも求められることなく会計は済んでいた。
――ふん、チョロいもんだ。てんでザルだぜ。
心のなかで毒づき、購入品を満載したエコバッグを肩にかけ足早にエレベーターホールへと向かう。



――これなら、腹が減ってもいつでも食いもんを買いにこれるだろうな。
そう思って慌ててブンブンと頭を横に振る。
おれにはこれ以上の罪を背負いきれる自信がない。
もう、おれはひとつ、背負ってしまったのだから。



病棟に戻ってくると、おれの病室の方から看護師がやって来るのが見えた。
いったん隠れてやり過ごそうとも思ったがあまりにも不自然だ。
なに食わぬ顔ですれ違う…ところで声をかけられた。

「おはようございます、"重そう"ですね、"持ちましょう"か?」

心なしか、看護師がニヤリと笑ったように見えた。

「いや、大丈夫すよ。もう寝てばっかりで筋肉使ってないんでね。ちょっとでも負担かけないと」

いかにもそれらしいことを言えた。声は震えていない。大丈夫だ。
看護師はそうですか、と言うとおれとすれ違っていく。

「あァ、そうだ。鈴木さん」

心臓が跳ねる。こいつ、やはり――

「きょう、雪が降るみたいですね」

「あ、ああ。そうなんですか。中にいると分からないもんですね」

看護師は去っていった。足早に病室へ戻る。窓の外を見ると、確かにみぞれ混じりの雪が降っているのが見えた。
ヤツは何が言いたかったんだ?おれの起こしたことと今シーズンはじめての雪になにか関係が?
いや、もういい。もう関係ない。
ベッドに戻り誰にも見られぬようカーテンを閉める。
これでおれは独りだ。早速、手にいれたものを確認しよう。



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おしょうゆ密輸してきちゃった。
いやだってさ、お粥おいしくないんだもん。
昨日お醤油出されちゃったらたまんないって。あれ抜きじゃもう食べらんないって。
お醤油くらいだったらさすがに影響ないでしょ。いっぱい使わなきゃ大丈夫だって。
わ~たのしみ、これからは毎回お粥にお醤油かけれるぞ~。



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朝食。
・三分粥200g
・ほうれん草の煮浸し(を細かく砕いたやつ)
・玉ねぎのおかか和え(を細かく砕いたやつ)
・あまのりつくだ煮
・ジョア

ひ、一品足りんくねぇ…?
せめてお味噌汁…オッ!?これは三島食品の味袋のひとつ、「あまのりつくだ煮」じゃねぇか!!
いろんな病院食レポートに乗っていたんで気になっていたんだ!!「うめびしお」や「たいみそ」も楽しみだぜ!!
これなら醤油は必要ないな。つくだ煮は大好物なんだ。ウマいウマい。



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昼食。
・三分粥200g
・味噌汁
・醤油小袋
・白身魚の甘辛だれ(を細かく砕いたやつ)
・小松菜とちくわ煮(を細かく砕いたやつ)
・みかん(を細かく砕いたやつ)
・リンゴゼリー

あ、あれ。お醤油ついてきちゃったよ。
わざわざ自前の使うのもなあ…。まぁ、小袋だけで十分か。ウマいウマい。



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夕食。
・三分粥200g
・かにあんかけ(を細かく砕いたやつ)
・温サラダ(を細かく砕いたやつ)
・豆腐のゴマだれ(を細かく砕いたやつ)
・青じそドレッシング小袋
・野菜生活

オッこれは醤油の出番…、青じそドレッシングかぁ、おれ大好物なんだよね。
なんにでも合う最強調味料だよ。納豆にかけて食うのまじウマいからみんなやってみて。
まぁ温サラダ用なんだろうけど、サラダこんなちょびっとしかないのに小袋結構な量あるからなぁ…

…お粥にかけちゃえ。
あぁこりゃ変わらぬシャバの味だわ。ウマいウマい。退院後も世話んなるだろうな青じそドレッシング。



お醤油、使いませんでした。
明日以降に期待だネ…。とほほ。




ブーッブーッブーッ

看護師さん「はーい鈴木さんお呼びですかぁ?」

???「あの、夕食後のおくすり、まだ出てないんですけど、あの…」

看護師さん「あーはいはい、すいませんね遅れて。今行きますからね。忘れてた訳じゃないですからね」

???「でも、もう消灯前…」

看護師さん「いやほんとに。忙しくて。忘れてた訳じゃないですからね。忘れてた訳じゃ。今いきますから」

ブツッ




前回コメントくれた人らサンキューサンキュー、攻略法いっぱいありがとうございます。
カイロ使うのと温かいもの飲んで待機は良さそうですね。売店で仕入れてきます。
シナリオ本購入してくれた人もありがとう、新刊もよろしくたのんます。
コンボ書いてるやつは不等号マジメにやんなな?
んじゃまた明日。

入院日記 12日目

うす。
本日ここまで便なし、平熱で腹痛もなく好調です。



>ほんとによかったなあ、おめでとう
日に日に文章に磨きがかかってて伸びしろの化け物みたいだ
しかし一つだけ言わせてもらうと人間は考える「葦」だ
明日も楽しみにしてっから

コメントいただいております。
えっこれおれめっちゃ恥ずかしいやつじゃん、違和感なかったから特に確かめもせずずっとそうだと思ってたシリーズだ。
人間はいろいろ動き回れるけど脳みそがあっからそこが一番重要なんだよって意味なんだろうなぁってずっと思ってたわ。
でも正しい意味ググってみたら人間とか言って雑魚だけど脳みそあって最強じゃね?って感じだったんで、まぁ意味は大体おんなじだったということでどうかひとつ。ハイ。




「鈴木さ~ん、お食事で~す」
思わず身構えてしまい半笑いになる。
そうだった、おれはもう粥が食えるんだった。もうあの臭い液体を飲む必要もないし、明日死ぬかもしれないなどと思わなくてもいいんだった。

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朝食は
・三分粥200g
・味噌汁
・野菜とかまぼこの卵とじ(を細かく砕いたやつ)
・キャベツのおかか和え(を細かく砕いたやつ)
・黄桃(を細かく砕いたやつ)

オッ卵だ。卵とじの甘辛さはかなり嬉しいし食べごたえもあっていい。シャバに出てからも自分で作ろう。
具にはカマボコと、やはり玉ねぎとニンジンの刻んだのだ。
やはりこの辺は完全に基本コンボになっていて、スト2でいう中足波動、ブレイブルーでいう5B5Cヘルズファング、アルカプでいうところの2L2M2HS>(JMJMJ6HJS下空ダ>5HS)×2>JMJMJ6HJS下空ダ>5Hドゥームズタイム(空中プラズマビーム>空中フォトンアレイ)みたいなもんなんだろう。下空ダのあとはJHで慣性をつけるのを忘れないようにしよう。
おかか和えも歯触りがよいし、なによりもお味噌汁が嬉しい。
めちゃくちゃうっっっっすいんだけどかなり元気出る。やはり日本人は味噌汁よ。



めしをくったらセンセイがやってきた。
三分粥はとりあえず週明けまで続くらしい。うまく行けば月曜から五分粥だ。
正直もう今日辺りで終わりなんじゃねぇかなと思ってたけどまぁ贅沢は言うまいよ。これまでに比べりゃずっとマシだ。
退院時期についても話があったんだけどとりあえず来週いっぱいは病院にいることになりそうで、シャバに出られるのは1月最終週になりそうだ。
この辺はおおかた予想通りで早いくらい。というか減薬とか間に合うんだろうか?まぁセンセイがそんくらいの時期ってんなら大丈夫か。



今日は定期の透析の日。
これまで特に苦労はしなかったので気楽に臨んだが、透析室の担当医が「鈴木さん、今日はイきますよ…」などと飲み会前の学生みたいなことを言うので一気に不安に。
いつものごとく透析室の面々はテキパキ準備を進めていく。
今日はいつもより太い針を刺して多めに血をキレイにする予定だったのだが、案の定おれの血管が細いんだかしおしおなんだかのせいであんまり血が流れないため準備が難航する。
さすがにげんなりしていると、ベットを傾けたりなんだりで体勢を変えたりでも状況がよくならなかったらしく、いよいよ業を煮やした担当医によって血管を圧迫するべく採血する方の腕を強く縛られた。



さすがにキモが冷える。
おれは体を締め付けられるのが大の苦手で、血圧を計るのに腕を圧迫されるのもゾッとして身が固まるほどだ。とくに血管を圧迫されている感覚は最悪で吐き気すら感じる。
血圧を計るのは1分もかからない程度なのでなんとか耐えられるが、透析は終わるまで一時間はかかる。
その間じゅう血管を圧迫される感覚を味わえというのはさすがに拷問だ。
担当医にさすがに堪忍してくれ、他の方法にするかそうじゃなきゃ日を改めてくれと懇願するも聞き入れられず、処置は始まる。
体勢のせいで持参のタブレットも設置できず、気を紛らすこともできないのでただただ耐えることしかできない。
看護師や担当医は処置が安定したと見るや他の持ち場へ戻っていき、あっという間におれのベッドの周りから人がいなくなった。

…オォイざっけんじゃねぇ!!
外せこのバンド!!なんか他のでやれ!!!常にそばにいて腕あっためろ!!そしたら血とれっから!!
せめて居なくなんじゃねぇ!!おれの近くにいて気を紛らわせろ!!
小粋なトークとか展開しろや!!なんかあんだろ!!
医者だったらあんだろなんか若い頃の苦労した話とか!!語って聞かせろや!!
オラァそこの白髪からいけや!
「はじめて医療◯◯しちゃった話~!!」せーの!!「あ!やっちゃった!!」
オラァ!!いけや!!オイ!!!ライオンのスポンサードで聞かせろ小粋なトーク!!ざけんじゃねぇ!!オラ!!外せ!!!!!!!!!



おれの声は届かなかった。
もうどうしようもないのでベッドの柵をガンガン蹴りながらうめく。身悶えしていないとやっていられない。
正直他の患者には迷惑だったろうし本当に申し訳ないことをしたと思うがなんとか堪忍してほしい。
地獄のような時間を過ごし、止血が終わるとおれは無言で透析室をあとにした。



病棟に戻るとすでに13時前、遅れて昼食が配膳される。

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昼食は
・三分粥200g
・おかか和え(を細かく砕いたやつ)
・ほうれん草(を細かく砕いたやつ)
・トマト(を細かく砕いたやつ)
・オムレツみたいなの
・マンゴーゼリー

配膳車に長く乗せられていたためか急遽温めたからなのかどれも異様に熱く、そしてなによりも、どれもこれもマズかった。
さっきの透析の件はこの入院生活ではじめて医者に不信感を持つことになったし、この処置があと最低でも7回は残っていると思うとさすがにげんなりしていた。もう透析室に近寄りたくもない。
そんな気分で食うめしはどれもこれもマズかった。




めしがマズいというのはこの生活においてなによりも悲しい。
ポジティブになっていたからなおさらだ。
どんどん気分が落ち込んでいく。電書を開いても動画を見ようとしてもため息ばかりをついてしまう。早く帰りたい。



…あ、透析の前にシャワー浴びて身体あっためときゃ血管出やすいんじゃね?



ピッコーン。
それだ。名案に違いない。ふと思いついたところで一気にポジティブになるのを感じる。次はそれで行こう。

「鈴木さ~ん夕食で~す」

最高のタイミングだぜ!!!!!!

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・三分粥200g
・白身魚と野菜のソテー(を細かく砕いたやつ)
・マカロニサラダ(を細かく砕いたやつ)
・卵豆腐
・醤油小袋
・ヨーグルト


えぇタケノコまるのまんま出てきたけどいいの!?と思ったら卵豆腐だった。
つるんとしてるので砕かれておらず、出汁がよく効いててウマい。満足感もある。
マカロニサラダはうっすい味付けだけどマヨネーズを確実に感じる!おれはデブだからわかる!!ウマい!!
白身魚はなんなのかわかんなかったけどめっちゃウマくて泣く。魚ってウメぇなぁ、こんなウマいもんなんだなぁ。
そして醤油の小袋。卵豆腐に使うのか魚に使うのか迷ったあげく、粥にいれることにした。
うわウメぇ。
正直三分粥に関しては昨日も書いたようにあんまり美味しいもんではなく、とりあえず「先に処理しなければならないもの」だったが醤油を入れることによって格段に食べやすくなった。
まるでゴッドシグマにシグマブレスト無双剣が追加されたりZガンダムのバイオセンサーが解放されてハイパービームサーベルとウェイブライダー突撃が追加されたりするような感覚だ。いや、ヤルダバオトが神化したりマジンガーがZERO に変質するような…、ってのはさすがに盛りすぎだ。まぁせいぜいマジンガーにスクランダーがついた程度だろう。甲児くんは「マジンガーが空を飛べれば」ってよく言うけどおれも「三分粥に醤油さえあれば」って思ってたし。
アッこれヨーグルトうまいわこれ~ヨーグルトうまいよ~これ。甘いし。ヨーグルトいいな~なにがいいって身体にいいよ。乳製品は最高だな。退院したら配信とかやめて牛飼って暮らすわ。十勝にすじさんファーム建てよう。とりあえずハムとピクシー合体させて資金稼ぐね。



満足だ。明日に備えよう。
なんか採血の攻略法知ってる人教えてください。



ブーッブーッブーッ

看護師さん「はーい鈴木さんお呼びですかぁ?」

???「あのですね、きょう、あの、お醤油でたんですけど、これって毎日…」

看護師さん「いや、毎日は出ないですね」

???「あ、そうですか。そうですよね。調整されてるやつですもんね…」

看護師さん「じゃ、またなんかあったら呼んでくださいね」

ブツッ



前回コメントくれた人らサンキューサンキュー、シャバに出てもジャンクフードを食わないのは無理なので無理です。ムリ(ヾノ・∀・`)
めしはまあまあ気をつけるよう努力しますが食いたいもんもボチボチ食うでしょうね。また明日。

入院日記 11日目

うす。
本日ここまで便3回血便なし、平熱で腹痛もなく好調です。



「鈴木さ~ん、朝食で~す」

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来たか。
もはや逡巡はなく、手に取ったのはヨーグルト×2+マンゴー。
すべてを配合し、ほぼ完全に本体の風味を隠した液体を飲み干す。
最後のエレンタールはウイニングランに近く、心は極めて平静だった。
かつておれの心を砕いた巨大な獣の姿は、もはや腰を曲げた老人にすら見えた。



再び昼を待つ。じっと昼を待つ。
粥スタートと言われている限り重湯ということはないだろう。
おおよそ三分粥だろうがもしかしたら一気に五分粥から始まるかも知れない。
あ~どっちかなどっちかな、ワクワクするな。三分かな五分かな三分かな五分かな
「鈴木さ~ん検温しますね~あっ今日のお昼から三分粥なんですね、よかったですね~」

…あっさり看護師さんにネタバレを喰らう。もうちょっとだけワクワクさせてほしかった。
まぁいいや、これで変に期待をしなくて済むかもしれない。
そして、今後栄養の点滴は一切なくなるらしい。
点滴は1日1回のステロイド輸液のみでずいぶん身軽になることになる。
移動範囲も広がったし、昼間は院内を散歩するのもいいかもしれない。



そして昼すぎ、いよいよ配膳車のガラガラが聞こえてくる。
思わずビクリと身を起こしてしまい、冷静になる。
まだだ、違うぞ。まだだ。落ち着け。

「鈴木さ~ん、お食事で~す」

あ、どもっす。お疲れ様です。いただきます。
はっきり言って跳び跳ねんばかりの心境だったが、極めて冷静であるかのように振る舞う。
良くも悪くも自分が日本人だということを自覚する。
本当はめちゃくちゃ喜びたいし騒ぎたいし周りに自慢したかった。おれがデトロイト産まれだったらよかったのに。
いや、この喜びは目の前のものにぶつけよう。



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配膳されたものは
・三分粥200g
・ナスの煮浸し(を細かく砕いたやつ)
・野菜とエビのコンソメ煮(を細かく砕いたやつ)
・ツナとトマトのサラダ(を細かく砕いたやつ)
・リンゴゼリー

待望していたものがいよいよ目の前に運ばれてきても、思ったより感動はなかった。
前情報を入れがちなおれの悪い癖だ。未予習なら感動のあまり泣きすらしたかもしれないのに、初見の極蛮神程度なら2~3度実際に見れば突破できてしまうくらいガッツリ予習してしまった。
三分粥の時点ではおかずの大半が消化しやすいよう細かく砕かれている。逆にこれは予習のおかげで落胆は一切なかった。


ともかく食べよう。匙を持つ手が震える。
まずは三分粥を一口。
…分かっていたことだが、決して美味しくはない。
だが、しっかり甘い。ちゃんと米の味だ。エレンタールのようないかにも人工の味ではないし、なにより暖かいものを噛んで食えるというのが嬉しい。
野菜のエビの煮込みはジャガイモと玉ねぎニンジンが入っていて食べごたえがあった。エビが苦手なので逆に細かくなっていて良かったかもしれない。
ナスはシンプルな味付けでうまいし、ツナとトマトは爽やかで存在感があった。
どれもこれも薄味だがウマい。噛んで食えるということは幸せだ。



…よく噛んで食べていたつもりだったが、あっという間に食べきってしまった。
最後に残ったリンゴゼリーに口をつける。

…ウオッ甘っ!甘い!甘い食いもんだ!!
いいのかこれ!いいのか!?こんなうまいもん食って今いいのか!?
大丈夫か!?またおれ地獄に落ちたりしねぇよな!?大丈夫なんだな!?




…もうおれ一生これでいいわ。リンゴゼリーが一番ウマい。一生リンゴゼリー食います。
一応今日の昼の本来の献立を確認すると、今日はハヤシライスの日だったらしい。
…アブねぇ、超が8個はつく大好物だ。
もし今日もエレンタールだったら発狂していたかもしれない。間に合った形か。



食って横になると一気に落ち着き、すさまじい満足感に襲われる。
もうおれはここで足を止めてもいいとすら思う。
あまり見ない、年のいった看護師がやってきて、盆を下げ際に言う。

「あら~良かったわね~人間らしいもの食べれて」



…あ?



なんだこのババア?



絶食してっと人間扱いされねぇのか?



なんでこんな無神経なバカがこの仕事やれてんだ?



それともこいつはデブでヒゲ生えてると人間として認められない地域で育ったのか?



…危なかった。おれがデトロイト産まれだったら即座に発砲していただろう。
入院生活をしているとなにが引き金になるかわからんが、あまりに無神経だ。友人ならまだしも看護師がしていい発言じゃない。
しかし、おれは今めしを食って機嫌がいい。すべて赦そう。ババアに祝福あれ。



「鈴木さ~ん、お食事ですよ~」
あっという間に夜だ。同じく三分粥食が配膳される。

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夜の献立は
・三分粥200g
・里芋の煮っ転がし(を細かく砕いたやつ)
・野菜とエビの煮物(を細かく砕いたやつ)
・かれいの煮付け(を細かく砕いたやつ)
・パイナップル(を細かく砕いたやつ)
・キャロットゼリー


野菜とエビの煮物は玉ねぎとニンジンが入っていた。
三分粥食においてはこの辺はかなり定番のようだ。とりあえずレベル35まではワイン拾っとけみたいな感じだろう。
里芋の煮っ転がしは砕かれててもあんまり元と変わらん気がする。ねっとりしていてウマい。
かれいの煮付けは砕かれているため逆に食べやすくていい。
おれは魚は好きなんだけど、刺身以外は正直あんまり好んでは食べない。
ほぐすのがめんどうだし、そのめんどくささを乗り越えてまで食べたいとは思えないし、焼き魚や煮付けになってる魚を見ると正直魚がもったいないとさえ思うことすらあるアッめっちゃウマいわかれいの煮付け。薄味だけどしっかり甘辛くてほどよく脂がのっててこの10日絶対味わえなかったやつだぁ。
ああめっちゃウマい。噛めば噛むほどウマいわ。飲み込めんこれ。めっちゃウマい。



…おれもう一生かれいの煮付けでいいわ。かれいの煮付けとリンゴゼリーでいいです。もうこれ以上求めないです。
幸せだ。もう何もしたくない。
昼も思ったが、もうここで終わりでもいい。
ここで足を止めてもいい。退院もしなくていい。
思えば看護師が色々と世話を焼いてくれるし、居心地もいい。
ずっと入院していてもいいんじゃないか?そうすればなにもしなくてもいいし、日々の飯を待つだけでいい。
あぁ、眠くなってきた。眠くなったら寝よう。おれはもう、三食を待つ豚でいい…。







…待てよ?
もしかして、昼間のあのババアはおれを叱咤しにきたのか?
昼間にも微かに「足を止めてもいい」という思考に至ってしまったおれに「人間は考える足であるということを思い出せ。思考を放棄した人間はただの豚だ」ということを言いに来たのか?
合点がいった。
あのババア、超一流の看護師だったのか。
身体のケアだけでなく、思考のマネージメントまでこなすとは恐れ入った。
わかったぜ。おれはもうこんなところで満足したりしないぞ。
サンキューババア。目が覚めたぜ。おれにはまだ、ずっと先があるんだからな。



ブーッブーッブーッ

看護師さん「はーい鈴木さんお呼びですかぁ?」

???「あの、お粥、ちょっとうすくて…あの、なんでもいいんですけど、お醤油とか塩とかつけていただけたりって…」

看護師さん「すいませんけどそれも込みで調整されてるんで我慢してくださいね」

???「そ、そうですよね。あたりまえですよね。すいません、へへ…」

看護師さん「じゃ、またなんかあったら呼んでくださいね」

ブツッ



コメントくれた人らサンキューサンキュー、うんこは食ったもんだけじゃなくて腸内細菌の死んだのとか細胞の入れ替わったのとかで結構出ます。
点滴減ったり飯食えたりで退院が近づくのがわかってうれしいすね。
あしたは透析のやつなんでスマブラの発表見たら寝ましょうね。また明日。

入院日記 10日目

うす。
本日ここまで便3回血便なし、平熱で腹痛もなく好調です。



>すじさんうちの病院に来なくてよかったよ おめえ絶対売店のテイクアウト松屋メニュー買い占めそうだからよ
うちの患者からもエレンタールまっじいと評判だ フレーバー2つ混ぜるとマシとも聞くが 冷やすのも手かもな なんとか頑張ってくれ

コメントいただいております。
実はですね、おれが入院している病院の売店にも松屋の弁当が置かれております。たぶん同じ系列の売店が入ってんでしょうね。
なんでも普通の松屋では販売していない、売店限定のもんもあるとか。
まぁこの話もいずれ。



朝、あんまりにも腹が鳴るもんで眠れず。
病棟の電気が点いてからようやく眠気が勝ってくるも、看護師さんの声がおれを微睡みから引きずりあげる。

「鈴木さ~ん、お食事ですよ~」

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配膳されたのは黄色の悪魔。人工の神罰ジェヴォーダンの獣。
毎日8時、12時、18時はおれにとって逢魔が時だ。大腸の潰瘍は生贄の烙印だったのだろう。
現れた魑魅との闘いに向け、おれが手に取ったのは「さっぱり梅」のフレーバーだ。
封を切ってエレンタールに混ぜていくと、安っぽい梅の香りが立つ。あまり期待はできなさそうだ。



一口。



…お?
マズくな…いや、マズい。
マズいが、きのう試したコンソメや青リンゴより飲める。
「さっぱり梅」のフレーバーはたしかに安っぽい、駄菓子にあるようなテイストで、やや塩気がある酸味はエレンタールの甘ったるさをマスクしきれてはいなかったが、どこか昆布茶を思わせるような風味を出していた。
元がマズいので結局マズくはあるが、そのマズさとは別に飲めなくもない味がやってくる。
不毛の大地を開墾して畑を作ったというよりは、不毛の大地の上空5mで空中菜園を始めたような感じだ。
悪くない。いや、悪いは悪いが、その中でもまだ悪くない。これなら武器になり得る。



きのう一時間ほどかけてなんとか消化したエレンタールを10分もかからずに飲みきる。
危なかった。「さっぱり梅はまだ悪くない」という情報がなければおれは「コーヒー」のフレーバーなどを選択しまた大失敗していたかもしれない。
ドズル・ザビは「戦いは数だよ兄貴」と言ったが、ジオンがソロモン戦で敗退したのはギレンやキシリアからの援軍が適切なタイミングで得られなかったからでも事前のMSの配備が不十分だったからではなく、結局連邦によるソーラ・システムの設置を察知できなかったためである。
やはり重要なものは情報だ。先人たちには感謝せねば。



エレンタールを片付けてすぐ、センセイがやってきた。

「あー鈴木さん結構調子良さそうですね。このうんこの具合なら明日の昼からお粥にしましょうか」

センセイは「あ、これ持ってっちゃいますね」と忌まわしい禁食のプレートを外し、去っていく。



…あ?



なんだ今の?



あと今「便」とかじゃなくて普通に「うんこ」っつったか?



頭が追い付かない。
しかし、センセイは間違いなく言った。それは確かだ。

「明日の昼からお粥」

福音は、唐突にやってきた。
頭の中が真っ白に染まり、一気に力が抜ける。
やっとここまで辿り着けたのか、おれは。
矢継ぎ早に看護師さんがやってくる。
どうやらエレンタールの解禁に伴っておれの左腕を24時間拘束し続けていた点滴は常時ではなくなり、今日はもう1日点滴はナシとのこと。
チューブが取り外され、左腕が自由になる。
あまりにも巨大だったはずの目の前の山が一気に崩れていく。きのうの苦しみは一体なんだったんだ。
意味もなく談話室まで歩き、自販機で茶を買って飲む。
おれは得体の知れない幸福感に戸惑いすら感じていた。



昼のエレンタールがやってくる。もはや消化試合で、どのフレーバーを使うか楽しみすら覚えていた。
使用したのは「ヨーグルト」と「オレンジ」のフレーバー。
これもマズいが、酸味がエレンタールのマズさをなんとかマスクしてくれており、今まででもっとも飲みやすい。
はじめて化粧が上手くいったときはこんな気分なんだろうか。
ヨーグルトをベースに配合するのはかなりいいのかもしれない。



夜は「さっぱり梅」をダブルで混ぜた。
フレーバーの補給を看護師さんにお願いしたらやけにいっぱい持ってきてくれたので、どうせもうあんまり使わんしと思い消化することに。
味はシングルと変わらないが、酸味がさらにのっかって飲みやすい。ダブルで使える状況ならこちらの方がいい。



明日からめしが食える。間違いなく。
早く時間を流したい。




ブーッブーッブーッ

看護師さん「はーい鈴木さんお呼びですかぁ?」

???「あの、今日点滴もないんで、あの、エレンタールだけじゃなくて、なんか、ヨーグルトとか追加されたり…」

看護師さん「っていうことはないですね」

???「あ、そ、そうですよね。ないですよね。そうすよね」

看護師さん「じゃ、またなんかあったら呼んでくださいね」

ブツッ



前回コメントくれた人らサンキューサンキュー、おかげさまでエレンタールはなんとか攻略できました。
今日は気を抜いて寝ちゃったんで日記おそくなりました、すんません。
明日からもよろしくたのんます。では。

入院日記 9日目

うす。
本日ここまで便2回血便なし、平熱で腹痛もなく好調です。



>このブログ毎日読んでるんだけど、彼女に
「最近何読んでるん?」と聞かれたときに
「あぁ、好きな人が入院してさ。ヤバイねん。これはアマギフ送らんとあかんわ」
って言うたら
「アマギフで病気は治らんで、あほちゃう」
と言われたので、アマギフを送るのやめようと思いました。すみません。

コメントいただいております。
臨床実験において、アマギフはCRP (炎症度)を1000円ごとに0.001下げることのできる有為性を持つことが判明しているため、アマギフで病気は治らないということはありません。ドシドシ送っていただけると幸いです。



本日は宣告されていたXデイ、いよいよ食事が解禁される日。
溢れる期待感は隠せずほぼ寝られないまま朝を迎える。
おそらく出てくるのは重湯だろうが、それでもものが食えるのはいい。
それに常食への記念すべき第一歩だ。喜ぶべきことだろう。



しかし、いつもなら問診にやってくる7時半ごろになってもセンセイは現れない。
すこし微睡んでしまった隙に来ていただろうか?と思い看護師さんに聞いてみても「今日はまだ見ていない」とのこと。
そうこうしている間に時刻は8時を回り、朝食が配膳されていく。
当然おれのところには回ってこない。運ばれてきたのはいつもの朝の薬だけだ。



嫌なイメージがよぎる。
もしかしてセンセイは今日も休みなのか?それによって今日指示を下す人間がおらず状況は据え置きなのか。
それとも何かのデータの結果によって禁食が解かれることはなかったのか。
身を起こし振り返ると、ベッド上部には変わらず「禁食」のプレートがかかっていた。
だとしたらこの数日、この日を目指して過ごした日々はなんだったんだ?
なんで?今日解禁って言ってたのに、全然違うじゃん!
すっごい重湯食べるからって友達に言ったのに、私バカみたいじゃん!!
なんで?あたしがデブだったから?不摂生だったから?謎のストレスにまみれてたから!?
もういいよ!!私禁食やめ
センセイ「鈴木さ~ん、今日調子どうですか~」
おれ「アッハイハイけっこういいです」



センセイは9時くらいにやって来た。外来の準備で忙しかったそうだ、おつかれやまです。
やはり言われていたとおり今日から解禁ということだけを告げてセンセイは立ち去っていった。
思わず胸を撫で下ろす。
早速歯を磨こう。シャワーを浴びて着替えよう。よし、今日はいい日になりそうだ。



ただじっと昼を待つ。まんじりともせず昼を待つ。
重湯を飲んでいる自分を想像すると、まるで幸福を前借りしているような気分にすらなる。
そうして、配膳車がやって来た。
「鈴木さ~ん、お食事で~す」
一週間前まではおれに掛けられることすら考えられなかった言葉だ。
ハリウッド映画のオーディションを潜り抜けたような気分になる。おれは変わる。今日から変わるんだ。
そうして、使われることのなかったベッドテーブルに、初めて食事が置かれた。
これが8日ぶりの食事、はじめての重湯…、いや、違う!!これは!!


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え、エレンタールじゃねぇか!!


エレンタールはいわゆる栄養補助剤で、絶食明けの患者に出されることが多い。
300mlで充分に栄養が摂れる優れもので、色んな病院が採用しているらしい。
しかし、問題がひとつだけあるらしい。



これ、めっちゃマズいらしいんだよね。




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混ぜ物のフレーバーが何種類も付属している。
つまりは「そういうこと」だ。


いいじゃねぇか、おれにはまだ米は早いってんだろ。上等だ。


ともかく、まずは素で行ってみよう。
おそるおそるカップを口に運ぶ。


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うおーーーーーーーーーーー

おーーーーーーーーーーーーーーーーーー

まーーーーーーーーずいなーーーーーーーーーーーこれーーーーーーーーーーーーー

こりゃあダメだ、もう一口で無理だ。
リンゴのでき損ないみたいなモッタリした薬臭い甘さが鼻を突き抜けていく。常温なのがさらに悪い。
到底二口目に行く気になれはしない。混ぜ物を選ぼう。
混ぜ物は結構種類がある。
コーヒー、マンゴー、オレンジ…、ネットでは「青リンゴやヨーグルトがまだマシ」という声が多いようだ。
しかし、その中で明らかに異質なものは「コンソメ」。
他が甘いテイストばかりなのにこれだけがしょっぱい系だ。
よし、これだ。さすがに今はちょっとでも塩気が欲しい。
封を切って粉を混ぜて…

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いやこれめっちゃダマんなってねぇか!?
あったかいうちに混ぜねぇとダメなやつだったんじゃねぇの!?
とはいえ、確かに香りはコンソメ風になった。行けんのかもしれん。

一口。


うおーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これはもっとマズいなーーーーーーーーーーーこれーーーーーーーーーーーーーー

確かにコンソメ風だがコンソメフレーバーのえぐみがひどく、到底飲めたもんじゃない。
しかもトロみがついたことによってエレンタールが本来持つ甘ったるい臭さが逃がされずに口の中へ放り込まれてくる。マズさの相乗効果だ。
あまりにもマズい。この世のものとは思えない。



大きなため息をついて天を見上げる。
…おれが堪え忍んできた日々は、一体なんだったんだ。
いくら腹が減っていても耐えてこれたのは今日という日があると分かっていたからだったのに。
必死に歩いて目指したサンクチュアリは荒れ野だったというのか。



再び大きくため息をつき、うなだれる。
暴食の者が落ちる地獄があるとすれば、まさにここだ。
こんなんどんなメンタル強いやつでも折れるだろう。
たぶんダルビッシュとかでも流石にうなだれてしばらくは動かなくなるはずだ。
まだ見ぬ解禁食に思いを馳せていられた方がまだマシだったかもしれない。
絶食と恋は片想いの方が楽しいのかもしれない。



もう、どうにもならん。
ともかく目の前にあるものを片付けなければならない。
飲んでは手を止めを繰り返し、結局一時間近くかけて300mlを消化した。

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ここ2日ほど、正直言っておれはかなり前向きだった。
ブログにはああ書いていても、退院後になんとか健康に過ごすため模様替えの計画を練ったり、食えそうなもんを調べて片っ端からメモしたり、レシピをまとめていたりした。
ある程度マイナスになったにしても、これからまともに過ごしていくために努力するつもりだった。
ただ、もう今はそんなことを考える気力もない。
昨日までポンポン思い浮かんでいた食べたいものも浮かんでこない。
疲れた…


………


「鈴木さん、調子どうですか?」

どうやら少し眠ってしまったようだ。携帯を見るともう夕方、外来対応をすべて終えたセンセイがやってきていた。

「まぁエレンタールで2~3日様子見ますんでね、ガンバっていきましょう。じゃ」



…2~3日?

あんなものが数日も続くのか?

食事ではなく?




…もう疲れた。早くウチに帰りたい。
なにがどうだっていい、どんだけ熱が出てもいいしどんなに血便が出てもいい。
今すぐ家系を食べに行きたい。唐揚げを山ほど食いたい。
普段はろくに飲めない酒を浴びるほど飲みたい。
考えるたびに猛烈な疲れがドカリと重なる。
もはや動けず、おれは再び目を閉じた。



「鈴木さ~ん、お食事で~す」


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…来た。
入院生活の底辺は入院直後でもなく空腹に喘いでいるときでもなく、間違いなく今だ。
ならばここから上がるだけ、と思うには真・シャインスパークを撃つだけの気力が必要だ。
で、あれば、戦って気力をあげるしかない。
おれは迷わず青リンゴのフレーバーを手に取った。



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青リンゴの香りが漂う。これなら行けるか…?



一口。




いやーーーーーーーー変わんねぇよこれーーーーーーーーー

どれ入れてもおなじだよーーーーーーーーーーーーーーーー


でき損ないのリンゴのような甘ったるさはさらに濃厚になり、やはり飲めたもんじゃない。
香りだけはいいので、そこは救いか。
やはり、一時間以上かけてなんとか消化する。

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これをあと数日続けないといけないのか。
持つのか、おれの精神と身体は。
はっきり言ってもう限界だ。だれかハンバーガー持って助けに来てくれ。もう無理だ。もしくは車で迎えに来てくれ。

そして腹がぐうと鳴った。
いやこんだけがんばっても腹減るんかい。


もう無理です。

入院日記 8日目

うす。
本日ここまで便2回血便なし、朝から平熱で腹痛もなく好調です。



>よく疑問におもうんだが、入院中にムラムラしたらどうするんだろうか?
まさかナースに搾精してもらえるわけでもあるまいし、
それとももはやそんな気力すら湧かないのだろうか。

コメントいただいております。
まーーーーったくもってその通りでありまして、そっちまで意識が行っておりません。
入院して以降は一回もおちんちんを触る行為をしていません。
思い返してみればエレクチオンしたことすらないんじゃないでしょうか。
普段は1日に15人の女を抱き、全員が気絶するまで満足しない絶倫のぼくでも空腹には勝てないということであります。




今日は定期の透析G-CAP。
例のごとくテキパキ作業が進んでくんだけどやっぱりおれの血管の細さだったり見えにくさはだ~いぶネックみたいで結構チクチク刺されることに。失敗されたとこまだちょっと痛ぇよ。
血管の問題はこれから考えるとだいぶ憂鬱になるなぁ、ほしいものリストに極太最強超鋼鉄血管入れておくんでだれか移植してもらえませんか?



とりあえずなんとか準備完了して処置がはじまるんだけど、前回はハウルで完全に不意討ちを食らったので、今回は反省を活かして自前のタブレットとWi-Fiを持ち込むことに。
なに観るかちょっと悩んで、まだ全部観れてなかったドラマ「SPEC」をチョイス。
いいよなぁSPEC 、テンポもいいし話も分かりやすいしやっぱ面白ぇわ。
キャラもそれぞれ立ってていいしさ、いかにもこの日本のドラマって感じがすげぇ安心できて…

…あ、やべぇ。

完全に忘れてた。

このドラマ、ほぼ毎回戸田恵梨香が餃子食うんだった。

やっっっっちまった茹で5焼き5にんにくハミ出ェ!!!!!!

めちゃくちゃ美味そうなんだよあの餃子!!!!!

今のおれは張り切っていけねぇんだよボケ!!!難病なめんじゃねぇ!!!!お腹んなかがたかまるわ…



…そしておれは「おつかれやまです」と心の中で呟き、目を閉じた。
次に目が覚めるとすでに処置は終わり、管が刺されていたところには止血のバンが貼られていた。
おれは「退院一発目のめし、やっぱ餃子にしよ」と心に決め、病棟へもどった…。



ブーッブーッブーッ

看護師さん「はーい鈴木さんお呼びですかぁ?」

???「あの、今日まだ寝る前の薬がきてないんすけど…」

看護師さん「あ、ごめんなさいね。すぐ持っていきます。鈴木さん毎日寝るの遅いみたいですけど、なにかありましたか?」

???「あ、あの、日記、あ、いや、はい、ひる、昼間、けっこうねちゃうので…」

看護師さん「あ、そうですか。じゃ、またなんかあったら呼んでくださいね」

ブツッ


前回コメントくれた人らサンキューサンキュー、こういうときでもないとなかなか昔のインターネットと違うんで日記なんか書きませんから、こういうのも貴重っちゃ貴重ですね。
明日はとうとうめしの解禁予定日です。もうねます。

入院日記 7日目

うす。
本日はここまで便4回血便なし、朝から平熱で昼に入浴、腹痛もなく好調です。



>すずきさんに質問です、相手がディストーションフィールド持ちだった場合、初手はハイパーメガランチャーと、ウェイブライダー突撃、どっちが妙手ですか。また、その場合魂はつけたほうが良いでしょうか。

コメントいただいております。
ZZもしくはZとナデシコが参戦しているということでV以降のスパロボを基準にすると、ディストーションフィールドは結局軽減よりも無効がメインになるのでパイロットがイーノだったり全くの無改造でない限りまずフィールドは抜けるでしょう。
そのためあまりフィールド事態は考慮せずともいいかもしれません。
魂の使用が考慮されるということはゲーム進行度的にもマップの進行度的にも終盤の可能性が高いですから、ExCを消費しハイパーメガランチャーで雑魚を撃墜した後マルチアクションでボスに接敵、魂ウェイブライダー突撃で大ダメージを与えるのがよいと思います。
えっこのコメント拾うのかよ。



おなかがすきました。
もうほんとおなかがすいてむりです。
飽きるほど日記に書いてきたし、読む方もいい加減うんざりだろ。
でもしょうがねんだ、マジで腹減ってることしか書くことねんだから。
日中は腹減ってることを嘆くしかやることねんだもん。



でもちょっと今日は先を見ることにする。
もはや明日一日を堪え忍べばなんとかめしが食えるようになるだろう。
ようやく禁食の洞窟にわずかな光が射したとき、おれは未来を見てみたくなったんだ。
幸いネットにはおれみたいに入院日記を書いてるブログが結構あるんで、ここからどういうめしが食えるようになるのか調べて予習をしてみることにした。



解禁初日はどうやら重湯が2~3食出るようだ。
重湯ってのはお粥の上澄み汁で、言ってしまえばお粥から米を抜いたようなもんらしい。
それと具なしの味噌汁やスープ、飲むヨーグルトなんかが加わる。
つまりは流動食、栄養をしっかりとるための食事というより固形物を食えるようにするための復活食の意味合いが強そうだ。
まぁそれはだいたいわかってる。めしが食えるようになるっつっても最初はこんなもんだろうとあまり期待はしてない。しょうがない。
おれがまだ10代だったら初日から家系ラーメンほうれん草ダブルマシとライスが出ることを期待し、現実との落差に絶望していたことだろう。
「おれは飢えて死ぬ」と自覚し、自身の未来を知った結果即座に壮絶な老化現象を起こしていたに違いない。酒井製麺(コムギ)………?



そこからは三分粥、五分粥、七分粥、全粥、米飯とランクアップしていくらしい。
だいたい3日程度の周期で進化していくようで、5段階進化と3日で通常の米飯にたどり着くまでには最短でも15日。やはり退院までにはまだ遠い。
おれも粥のランクが上がっていくたびに名前をすじさん→スジール→スジックス→メガスジックスと名前を変えていった方がいいのかもしれない。頼むからBボタンだけは押してくれるな。



三分粥から固形物が出始めるみたいだが、潰瘍性大腸炎の患者はおかずもミキサーにかけられたようなペースト状で出されることが多いようだ。まぁ食えるだけいい。
本番はどうやら五分粥からで、ここまで来ればほぼおかずも常食と同じものが出るらしく、栄養をしっかり食事で摂れるようになるためここらで点滴が外れることも多いらしい。
いくつかまとめを読んだが、解禁初日から五分粥が出されることもいくつかあるようだがこれが許されるのは天才だけだろう。
多分初日から五分粥が解禁されるようなやつは最初の試合からホームランを打ちまくれるし、イベント次第では二刀流オールSも目指せるだろう。センス○もついて能力も効率よく上げられる。今回はこのパターンには期待しない方がいいかもしれない。



七分粥以降はあまり変わらないようで、やはり病院食は五分粥で完成するようだ。
そこまでたどり着くのに上手く行っておよそ7日、1/21には五分粥にありつけているだろう。
その日は最高の記念日になるだろう。
国民の休日にして、家族みんなで薄い粥をすする日にしてくれ。
翌日に食う脂モンは最高にうまいだろうぜ。



ブーッブーッブーッ

看護師さん「はーい鈴木さんお呼びですかぁ?」

???「あの、お風呂、お風呂まだおれの順番になんないすかね…?」

看護師さん「ごめんね~前の人が海外の人で日本語がだいぶ怪しい上に準備が遅れてて、なんでかもう30分はドライヤー使ってんのよ。だからごめんね、あと一時間は待ってもらえる?」

???「あ…全然…大丈夫ス…」

看護師さん「じゃ、またなんかあったら呼んでくださいね」

ブツッ



前回コメントくれた人らサンキューサンキュー、成人の日でずれ込んでんのは盲点でした。すべての新成人が腹痛になるように呪いかけんね。
写真はたしかに撮っておきたいなぁ、今日風呂はいる前に鏡見たら予想以上にカリカリになっててびっくりしたわ。
明日は例の透析なんでもうねます。またあした。

入院日記 6日目

うす。
本日はここまで便4回血便なし、朝に微熱も昼には平熱に下がったため入浴。腹痛もなく好調です。



>すずきさんはゴーンに成れるか
音響機器の大箱を持ち込むのは難しいから、出入り業者のコスプレにマスクで脱出。
電話予約した牛丼を素早く受け取り、病院のトイレで掻き込む。
病室に仕掛けたマイクで様子を伺い、不審がられ始めたら業者の服とゴミを天井裏に押し込み何食わぬ顔で戻る。いけんか?

コメントいただいております。
かなり良さそうだ、牛丼を電話で予約してできうる限りタイムを短縮するのがミソだよな。
マイクはどうにかなるだろうが出入り業者に金を包んでおく必要があるな。もらったアマギフが役に立つだろう。
やはり現代戦は諜報からだな。真っ向から戦おうとしていた時点で間違いだったんだ。



やはりろくに眠れず朝を迎える。
目覚めて指折り、あと3日もあると考えるとやはり気分は沈む。
ここで「よし、あと3日頑張ろう!!」となれる気力はもはやない。
そんなポジティブにやっていくにはストナーサンシャインを撃てるくらいの気力が必要だ。
現状のおれの気力で撃てる武装といえばマシンキャノンがいいところで、A.Tフィールドはおろかオーラバリアも貫けないだろう。
予定もなかったし、もはやこの日はスキップするつもりで昼まで寝ることにした。



次に目が覚めたときはちょうど昼めしどきで、デカいガラガラから配膳が行われているタイミング。
起きるやいなや盛大にため息をつくハメになり、再び布団に潜り込もうとする。
しかし、そこに漂ってきたのは「バターと加熱されたケチャップ」の香りだった。



あっ



お、おれのめっちゃ好きなやつ~………



…この感じ、おそらく今日のひるの献立はナポリタンとかチキンピラフとか、そういうタイプだ。オムライスの可能性すらある。
病院食はこんなもんも出すのか。今日の栄養科の担当を簀巻きにして宇宙に送ってやりたい。
それともアレか、今日はなんかの日か。1/11でゾロ目の日はアツかったりすんのか?
そうなるとケーキとかがついてる可能性も浮上してくる。なんだ今日は?



いや、ともかくこの香りはあまりにも危険すぎる。
みんな大好きケチャップ味にバターのコクが追加された至福を想像すると身体全体が痺れ、膝の力があっという間に抜けていく。
シャバで健常でも相当に腹に来る香りなのに、今のおれにはもはや劇物だ。
この匂いをビニールに詰めたものを街の路地裏で売れば公安にあっという間に取り押さえられるだろうし、料理人の思想によっては世界中に何億人もいるだろう飢餓民を煽動して闘争に巻き込むことだってできるかもしれない。



ともかくこの病室には居られない。このままでは廃人になってしまう。
他のベッドを視界に入れないようにしながら病室を出る。
しかし、廊下に出ても当然他の病室にも同じものの配膳が行われているので匂いが途切れることはない。
ケチャップとバターの香りが巨大な波となって背後から追いかけてくる。
しかし、おれに許されている行動範囲はこの5階の南病棟の直線数十mだけで、もはやそこに逃げ場はなかった。
他の階に逃げ込もうにもそれには看護師の付き添いが必要で、昼時にパタパタと忙しそうな看護師さんたちの助力は望めなかったし、トイレに籠るのはさすがに気が引けた。
結局まだ匂いの薄い談話室の隅に座り、突っ伏すことにした。
おれが選択したのは緩やかな自殺。この暴力的な香りにじわじわとその身が包まれていくのを待つよりほか、なかったのであった。



心配した看護師に肩を叩かれたのはおよそ一時間後。
どうやらそのまま眠っていたらしい。顔をあげると、もうあの香りは消えていた。
もしかしたら、全部夢だったのかもしれない。この病院ではオムライスなんか出なかったし、トマトも牛乳も存在しなかったのかもしれない。
息をつき、胸を撫で下ろす。病室に帰ろう。歯磨きして、ちょっと気を紛らわそう…。




帰りに献立表が張り出されていたのを発見し、見ると今日の献立はエビピラフだったようだ。
あっよかったおれエビ苦手~。



ブーッブーッブーッ

看護師さん「はーい鈴木さんお呼びですかぁ?」

???「すんませんあの、もうほんと腹へって限界なんすけど、ノンシュガーのガムとかってダメなんですか…?」

看護師さん「今日は先生いないんで、いるときに聞いておきますね~」

???「あ…はい…」

看護師さん「じゃ、またなんかあったら呼んでくださいね」

ブツッ



ほんともうおなかすいてむりです。



コメントくれた人らサンキューサンキュー、とりあえず書くことあるかぎりは書いてきます。
書いてほしいことも引き続き募集してますんでなんかあればコメントたのんます。またあした。